今回は時計業界では常識なのですが、一般の方はあまり知らないアナログ腕時計(デジタル表示ではない針で時刻を表示する腕時計)を使うに当たって主な3つの注意点をご説明します。腕時計の最大の弱点といっても過言ではありません。腕時計は本当に繊細なものです。機械式の時計であればモーターも電池も使っていないのに、ほぼ正確に時刻を知らせてくれます。モデルの中には、カレンダー機能やクロノグラフ機能(ストップウォッチ)、月齢を表すムーンフェイズなどムーブメントの仕組みを知らない方(わたしもですが)からすると想像もできないような機構が組まれています。そんな腕時計を使うに当たっての注意点3つをご紹介しましょう。
【その1】時計の内部は水にとっても弱いです。
腕時計は水にとても弱いです。中には深海6,000メートルまで潜ったギネス記録をもつ腕時計もありますが、それはさておき・・・。腕時計の防水性能はモデルによってさまざまです。当店で取り扱っているモデルでも、ユンハンスのマックスビルは防汗仕様だったり、オリスのアクイスであれば500メートルの防水機能を持ったモデルもあります。しかしどれだけ防水性能に優れていると行っても、防水性能が保たれているのは新品の時だけと思っていただいたほうがいいかもしれません。使い方次第で、水はどんなところからでも侵入してきますので、基本的には水に濡らさないように使用したほうが好ましく思います。
というのも水が内部に入ってしまうと、内部パーツが錆びてしまいます。錆びてくると動かなくなるだけでなく、腕時計のケースにも影響を及ぼす(錆びたりなど)ことも考えられるのです。そうすると通常利用するためにはオーバーホールだけでなくケースの交換等も必要になってくることもあり、最悪の場合は購入価格より高額な修理費用が必要になることもあります。
防水機能は水が時計の内部に侵入するのを防ぐための機能です。というのも時計の内部は、とても水に弱いのです。そのため腕時計は、あらゆる工夫を取り入れて水の侵入を防いでいます。ねじ込み式リューズもそうですし、ガラスや裏蓋、リューズにはパッキンを施したりもしています。もちろんこれらのパーツは経年により劣化してしまいますのでご注意を。
ちょっとした注意で防げる水の侵入
水の侵入はちょっとした注意で防ぐことが出来ます。たとえばリューズ。ねじ込み式リューズの場合は、ねじ込みが甘いとそこから水が入る可能性があるので、しっかりとリューズをねじ込みましょう。また引き出し式のリューズが浮いた状態なのを知らずに使用している場合もあるので要注意。メンテナンスを長い間していなければ、上記で紹介したようなパッキンが経年劣化により傷んでいるのを知らずに水につけてしまうと水入りしてしまうことも。
水だけじゃない。湿気にもご注意を!
気をつけなければならないのは、目に見える水だけではありません。梅雨時期や湿気の多い夏場などは快適環境の屋内でリューズ操作を行いましょう。ジメジメとした屋外でリューズ操作を行うことにより、湿気を多く含んだ空気が腕時計の中に侵入。そんな状態でとても涼しい屋内に入ると、屋外と屋内の温度差によっては腕時計の中の湿気が最悪水滴に変化してしまうこともあります。たとえば冷たい飲み物をグラスに入れると、グラスの外側に水滴が着くようなイメージです。夏や冬など温度差の激しいときにはガラスが曇ることはよくあることですが、曇るだけでなく水滴になっていたら、すぐメンテナンスに出しましょう。
一番の水入り対策は、腕時計を水に濡らさないこと!
腕時計の大敵、水の侵入を防ぐ一番の方法は腕時計を水に濡らさないことです。雨が降っている時も、手を洗う時も、出来るだけ濡らさないように扱いましょう。そしてリューズ操作は室内で行い、リューズをしっかりと締めること!
【その2】腕時計は衝撃にとっても弱いです。
最近、衝撃に強いG-SHOCKが約25tのトラックに踏まれても壊れなかったためギネス世界記録に認定されましたが、当店で取り扱っているようなアナログ表示の腕時計ではそうも行きません。
メンズサイズの機械式時計であれば直径40ミリ前後のモデルが多いでしょうか。その40ミリのケースの中に非常に細かな100を超えるパーツが組み合わさって時間を表示しています。そんな精密に創り上げられた腕時計に衝撃を与えて、一箇所でもズレが生じたらそこから噛み合わせが狂ってきて、最悪内部パーツが破損してしまったりすることも考えられます。場合によっては衝撃によって動力源のゼンマイが絡まってしまうこともあるのです。
ぶつけてしまったり落下させてしまうと外装部分が破損(ケースの凹みやガラス割れ、インデックスやリューズが取れてしまったり)することがありますが、外装部分のパーツはメーカーしか持っていないパーツがほとんどなので、修理を依頼する場合は高額になることもあります。
よく聞くのが球技などのスポーツをする時にバランスがいいからと、腕時計を着けたままプレイする方もいらっしゃいますが、これもオススメしません。ゴルフやテニス、野球などの場合はインパクトの瞬間に強い衝撃が加わります。その衝撃はプロレベルになると平均で1tを超えるとも言われていますが、その衝撃はゴルフクラブやテニスラケット、バットを通じて腕元に伝わってくることになります。この衝撃が原因で内部パーツに不具合が起きることもあるのです。
【その3】腕時計は磁気にとっても弱いです。
上記で説明した水入りや衝撃などは、注意することで比較的避けることも出来ますが、知らない間になっていることが多い磁気帯びに要注意。対磁性能を誇る腕時計のモデルが多数発表されていますが、逆にいうと、対磁性能を誇りにするほど腕時計は磁気に弱いということですね。近年ではISO(国際標準化機構)やJIS(日本工業規格)にも磁気に関する規格があるので、耐磁性がまったく無いこともありませんが、それでもやはり腕時計は金属で出来ているので磁気が苦手なのです。
とくにいまの時代は電化製品に囲まれているので、意識して電化製品に近づけないようにすることが必要です。スマートフォンやパソコン、女性であればバッグの留め具にもマグネットが使われています。麻雀を打つ方であれば全自動麻雀卓には磁石が利用されていますし、体内の血流を良くする健康グッズにも磁石はよく使われています。
デジタル表示のクオーツ時計はモーターや歯車などのパーツを使っていないので、磁気帯びによる時刻の表示には影響ありませんが、アナログ表示の腕時計は、クオーツ式でも機械式でも磁気帯びに気をつけなければなりません。
手巻きや自動巻きの機械式時計の場合、時計の心臓部とも言えるムーブメントは金属でできています。そのため磁気帯びすると正常に動けなくなるどころか、最悪の場合は止まってしまうこともあります。いちど磁気帯びしてしまうとその後ムーブメントの内部パーツに影響し、腕時計としての精度に影響がでることもあるのです。この場合は磁気を抜くために脱磁の作業が必要となりますが、磁気帯びがひどい場合はオーバーホールをしなければならない場合もあります。
アナログのクオーツ式時計の場合は、内蔵されているモーターに磁石を使用しています。外部から強い磁力の影響を受けてしまうと、はやく回転してしまったり、最悪の場合は止まってしまうこともあるのです。
磁気帯びについては、電化製品や磁石には近づけないと意識をしていても、周囲に磁気を発生させるものが多数あるので、無意識のうちに磁気帯びしてしまうということがよくみられます。ご注意を!
腕時計の使い方/3つの注意点まとめ
アナログの腕時計は値段の高い安いに関わらず上記で書いたような弱みももっている。高いから丈夫だとか時間が正しいとかは基本的にはありません。でもこれだけ大切に扱わなければならないからこそ、本当に愛着が湧いてくるものだと思います。当店ではクオーツはもちろん、手巻きや自動巻き腕時計のエントリーウォッチを多数取り揃えております。どうぞお楽しみくださいませ。
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